国土交通省は、自動車整備士の人材確保に関する対策をまとめた。若年層への情報発信強化や整備工場での仕事体験を新たに展開するほか、離職中の有資格者に対する復職支援も行う。「自動車整備士の働きやすい職場ガイドライン」の策定や、評価制度を設けて整備事業者の職場環境改善を後押しする。予算措置を含めて必要な支援を行うほか、整備人材に関するデータを継続的に把握するための仕組み作りも検討する。
整備士の認知度を早期から高める狙いで、小・中学生に向けた情報発信を強化する。整備事業者や学校の協力を得て、高校生などを対象に整備工場の仕事体験機会を設ける。今月から全国で順次、整備事業者向けの説明会を開き、7~9月に仕事体験を実施する予定だ。
離職中の有資格者など「潜在的整備士」が約54万8千人と推計されることから、経験者採用の取り組みにも力を入れる。短時間勤務などの柔軟な勤務シフトの採用や仕事復帰のための教育支援などを念頭に置いている。
整備事業者の働き方改革や職場環境改善の支援も後押しする。ガイドラインの策定や事業者の達成状況を評価する仕組みなどを活用してもらい、人材の定着につなげる。国による経営者セミナーも開く考えだ。
人材育成に関しては、地域の整備事業者が合同で行う先進技術の研修などを支援する。整備士養成施設の最新車両などの導入も後押しする。
今後は、こうした取り組みを継続的にフォローし、必要に応じて改善策を練る。生産性の向上やユーザーの安全性向上にもつながる定期点検実施率の向上策も検討する。また、空飛ぶクルマやドローン(無人航空機)など次世代モビリティの分野で、自動車整備士の知識や技術を生かせる可能性があるかも議論していく考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月4日号より