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自動車業界トピックス

国交省、整備工場への監査体制を強化 ビッグモーターの不正踏まえて

国土交通省は、自動車整備工場に対する監査や検査の体制を強化する方針を明らかにした。ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)による大がかりな不正事案を踏まえた措置だ。例えば、複数の事業場で本社に起因する法令違反が確認された場合、該当する事業場に対し、一括して立ち入り検査することを明文化したりする。2024年度から本省の物流・自動車局自動車整備課と運輸局、運輸支局でそれぞれ監査・指導担当の定員も増やす。今後、同じような不正の疑いが出た場合、迅速に実態把握や行政処分ができるようにし、自動車ユーザーの保護につなげていく。今後、法令上の根拠や運営体制などを早急に整えていく考えだ。

ビッグモーターに立ち入り検査する国交省の職員(7月)

国交省は、道路運送車両法に基づき、自動車整備事業者に監査(書面監査、重点検査)を定期的に実施するほか、同法100条の規定により、立ち入り検査や報告徴求も行う。ビッグモーターに対しては、同社の34事業場を立ち入り検査し「点検整備料金の過剰請求」「検査の一部未実施」「点検整備記録簿の虚偽記載」などの道路運送車両法違反を確認し、10月24日に行政処分などを行った。いずれの事業場も10~90日間の特定整備事業停止とし、そのうち12事業場は最も重い処分の「指定自動車整備事業の指定取消」に、11事業場は最大180日間の車検業務停止とした。24人の自動車検査員にも解任命令を出した。

悪質な法令違反が複数確認されたことから、国交省は34事業場の行政処分案を決めるにあたり「自動車整備事業者に対する行政処分などの基準について」(処分基準通達)で規定する「法令違反の内容について社会的影響などが大きい場合には、違反点数の合計を2倍に加重することができるものとする」を適用した。

国交省はまた、34事業場に対する一斉立ち入りなどを通じ、一連の不正事案に関する「組織的関与」を一部で認定したことも明らかにしている。こうしたことも踏まえ、残った約100事業場における不正事案の有無などの事実確認を現在も進めている状況だ。

国交省は、ビッグモーターによる不正車検事案を非常に重く受け止めている。斉藤鉄夫国交相は11月10日の衆議院国土交通委員会で、同社の不正事案に関する質疑に「自動車の安全に関わる体制についてしっかりとこれから取り組んでいくよう、私からも指示を出した」と答弁した。国交省は、自動車整備工場に対する監査の強化のほかにも、自動車検査員の働き方の実態把握や、車体整備の消費者に対する透明性の確保策などに乗り出している。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月23日号より