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自動車業界トピックス

国交省、機械式駐車設備の安全対策を強化

更新・保守点検にデジタル技術活用

国土交通省は、機械式駐車設備の安全対策や機能を強化する。老朽化した機械式駐車設備の増加や人手不足を踏まえて保守点検などをデジタル技術で効率化するほか、車両重量の重い電気自動車(EV)や自動バレーパーキングへの対応、充電設備の併設なども視野に入れる。専門家を交えた会議体を立ち上げて具体策を練り、関係法令やガイドラインなどに反映させていく。

日本では累計で約60万基が普及する機械式駐車設備

日本では、機械式駐車設備は1962年に初めて設置された。以来、都市部のマンションなどで2段式や多段方式が広く普及した。駐車場メーカーの調べによると、機械式駐車設備の数は現在、累計で約60万基(約300万台分)にのぼる。

法定耐用年数は15年で、適切な維持管理が行われていれば法定耐用年数を超えても使用できるが、近年は〝クルマ離れ〟や機械式駐車設備の維持・管理、更新にかかるコストの高さが嫌われ、新規設置は減少傾向にある。一方で、今後は更新期を迎える既設の機械式駐車設備が急増する見通しだ。老朽設備が増えると事故が増える懸念もある。

国交省は、関係団体や事業者、専門家などを交えたワーキンググループ(WG)を設置し、まずは既存施設の稼働状況や保守点検などの安全対策に関する実態を把握した上で、最新のデジタル技術などを活用した設備の更新、保守点検の効率化などを検討していく。

また、EVを普及させるための安全対策・技術基準の見直し、充電設備の設置に関する検討も行う。自動運転車への対応は、平面駐車と比べて高度な運転技術が求められ、インフラ側でも通信システムの構築など最新技術の導入が必要となりそうだ。

WGによる検討結果は、機械式駐車設備の構造や設備の基準見直し、新たな技術基準の制定などに反映させる。また、既存施設の適切な維持管理・更新を促すための仕組みも構築し、機械式駐車設備に関するガイドラインも改訂する考えだ。

国交省はまた、今後の駐車場政策のあり方についても検討を進めている。3月末までに「まちづくりと連携した駐車場施策ガイドライン」を改訂する。4月以降は、個別の検討事項についてWGなどを設置し、検討を進めていく。将来的には駐車場法など関係制度の見直しも行うことにしている。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)3月2日号より