国土交通省は、検査登録手続の「キャッシュレス化」および「デジタル化」に向けて基本方針をまとめた。赤羽一嘉国交相が20日の閣議後会見で公表したもので、運輸支局などの「窓口来訪者の利便性向上につなげる」ことが狙い。2022年にもスマートフォン対応の申請書類作成サイトの開設を目指す。現在、印紙のみとなっている検査登録手数料と自動車重量税の納付は、22年度をめどにクレジットカードでの電子決済を可能にする。赤羽国交相は「今後も利用者目線に立った改善を進める」とし、電子化を生かして最新の行政サービスの実現に取り組む姿勢を示した。
今回公表した「自動車検査登録手続の窓口業務フロー見直しに向けた基本方針」では、登録申請に必要な「OCRシート」など申請書類の電子入力サイトを来年の早期に導入する計画とした。まずは入力情報を申請書類として印刷可能にする。手作業よりも記入の手間を省けるように仕上げる。合せて審査の進捗を確認できるシステムを導入する見通し。登録手続きでは長い待ち時間も課題となっており、手続き完了の目安などを開示することで、申請者の時間調整などに役立ててもらう。
当面は紙の書類で審査する仕組みに変わりはないが、次の段階では電子情報のみで審査可能な体制づくりを目指す。さらに、マイナンバーカードや23年1月に導入予定のIC車検証などを活用し、情報を自動入力できるシステムに改修する計画だ。こうしたシステム構築によって、効率的で迅速な審査を実現する。
キャッシュレス化については、法改正をにらみながら推進する方針。検査登録窓口では、申請者の支払方法が印紙に限られるほか、一つの手続でも運輸支局内の複数窓口に納付する必要があるなど手間が多かった。これを、クレジットカードで一括決済できるようにする考えだ。
国交省は今後、他の電子決済への対応も検討する。登記事項証明書や戸籍謄抄本など添付書類のデジタル化については、関係省庁と協力しながら進めていく計画だ。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)7月21日号より