国土交通省が見直しを進めてきた自動車整備士資格制度と養成課程の実施スケジュールが決定した。電気・電子系学科卒の学生を対象に、受験に必要な実務経験年数を短縮する要件は即適用した。新たな自動車整備士資格制度は2027年1月1日に施行する。電動化や自動運転など自動車技術の高度化に対応した自動車整備士の育成と確保が狙い。深刻化する人材不足の解決には自動車整備士の抜本的な待遇改善も求められる。
25日に「自動車整備士技能検定規則の一部を改正する省令」を公布した。自動車整備士技能検定規則は、1951年8月の制定以降、自動車整備士に関する見直しをこれまでに8回実施してきた。今回は資格体系と試験関係を中心に見直しを図ったのが特徴だ。
各クラスの自動車整備士には知識だけでなく技能も一定レベルを求めることとした。新制度での一級と二級、電気装置や車体の整備士には、電子制御装置に係る知識などを有することが求められる。また、一級、二級、三級の自動車整備士は二輪車の知識も必要となる。
自動車整備士の資格体系の改正と合わせて、一級自動車整備士資格の学科試験における口述試験を廃止する。新たな自動車整備士技能検定規則に基づく試験を27年1月1日の施行以降に実施する。最も早い試験は同3月、一級の試験は28年3月の見通しだ。
近年、整備業界は人材不足が深刻化し、自動車整備要員の平均年齢は20年度に45.7歳に達した。少子化などで自動車整備士を目指す若者は減少し、自動車整備学校の入学者数はピーク時と比べて半減した。一方で、自動車の進化に対する知識や技術の習得は増えており、自動車整備学校ではカリキュラムや各教科目の時間配分の見直しなどを国と連携して行う必要もある。
国交省や自動車関係団体は、若者に向けた自動車整備士のイメージ向上につながるさまざまなPR活動を実施してきたが、自動車整備学校の入学者数増など人材確保への決定打は見つかっていない。労働環境や給与など待遇改善も一層進めなければ、若者の興味・関心の目を自動車整備士に向かせることは難しい。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)5月27日号より