国土交通省は、OBD(車載式故障診断装置)搭載の自動車が普及してきたことなどを踏まえ、自家用乗用車の車検時の確認項目を見直す。駐車ブレーキ機構など5項目にOBDを活用した確認方法を導入するとともに、点火装置に関する2項目は確認項目から削除する。自動車の高度化や電動化に合わせて、点検整備の高度化・合理化も図り、事故や不具合・故障の未然防止と発生時の適切な対応につなげる。今後、パブリックコメントを実施した後、自動車点検基準(省令)と自動車の点検及び整備に関する手引(告示)を改正する。
国交省は、昨年8月に設置した「自動車の高度化に伴う安全確保策のあり方検討会」で、車検時の確認方法について見直しを検討。このほど中間とりまとめを策定し、自家用自動車の車検時の確認項目78項目のうち、7項目の見直しを決めた。
OBDを活用した確認方法も可能とするのは、「駐車ブレーキ機構の引きしろ」「トランスミッション・トランスファのオイル漏れ、オイル量」「燃料蒸発ガス排出抑制装置のチャコール・キャニスタの詰まりと損傷、チェック・バルブの機能」「タイヤの空気圧」となる。
一方で、確認項目から削除するのは「点火装置の点火時期とディストリビュータのキャップの状態」とした。機械制御式から電子制御式に移行してきたことから削除する。
自家用自動車の車検項目の見直しにおいて、各構造装置の劣化や損傷、外観を目視などで従来は確認・点検していた項目をOBD活用による確認を導入するのは今回が初めて。また、確認項目を削除するのも初めてとなる。
同検討会で自家用自動車の車検時における既存の確認方法を見直してきたが、今年度も引き続き検討を行うものが18項目挙がっている。残り53項目は検討の結果、変更しないものと判断した。ただし、今後の技術進展に応じて見直しを検討する方針だ。
国交省は、電子制御装置の誤作動による事故やトラブルを未然に防止するため、昨年10月に定期点検項目にOBDの診断結果を追加して1年ごとの点検を義務付けた。2024年10月からは国産車で、25年10月から輸入車でそれぞれOBD車検を開始する予定だ。
保安基準に抵触していないか的確に検出できるほか、故障内容がより詳しく分かる。人為的なミス不具合故障の確認漏れも防止できる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)4月2日号より