国土交通省は、電動化やキャッシュレス決済など時代の変化に対応した駐車場政策づくりに乗り出す。まちづくりと連携した駐車場政策を議論する検討会に「需給マネジメント」と「施設デザイン」のワーキンググループ(WG)を今秋に立ち上げる。関係制度の見直しを含め、中長期的な視野で駐車場のあり方を検討し、政策に繁栄させていく。
国交省は2022年10月、有識者、駐車場関係団体、自治体の関係者らによる「まちづくりにおける駐車場政策のあり方検討会」を新設し、駐車場のあり方をめぐる議論を始めた。検討会では、これまでの駐車場施策を振り返るとともに、駐車場を取り巻く環境変化を踏まえ、今後の駐車場政策のあり方について議論を交わしてきた。
今年4月には、駐車場政策に関する現状と課題、まちづくりと連携した駐車場施策の基本的な考え方などをまとめたガイドラインをまとめている。
今後は、さらに中長期的視野での個別検討事項について、WGを設置して議論を進める。具体的には、駐車場整備・マネジメント戦略に関する「需給マネジメントWG」と、駐車場施設の品質や安全確保に関する「施設デザインWG」だ。
需給マネジメントWGでは、荷さばき車両、貸切バス、二輪車、電動キックボードなど多様なモビリティの駐車環境の確保について検討を進める。また、地域特性に応じた附置(ふち)義務制度の弾力的な運用など、官民連携による地域一体の駐車需給マネジメントのあり方を考える。
施設デザインWGでは、デジタル技術を活用したキャッシュレス化など、駐車場運営の効率化や安全性の向上策を検討する。自動バレーパーキングや電気自動車(EV)向け充電設備などの対応など、駐車施設のあり方も議論する見通しだ。
社会情勢の変化で、駐車ニーズや課題も多様化している。コロナ禍を契機とした宅配需要の増加に伴う荷さばき駐車環境の整備に加え、自動車の大型化やパワートレイン多様化への対応、自動運転技術の進展を踏まえた駐車場のあり方などだ。国交省はこうした社会情勢を踏まえつつ駐車場の役割を改めて見直し、政策に反映させていく。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月29日号より