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自動車業界トピックス

国交省、高速道路政策案 防災など多様な視点

道路の枠を超えた発想で地域社会の課題解決

これまでの発想を超えた道路の新機能も視野に入れるが…

国土交通省は24日、今後の高速道路政策案を関係審議会に示した。災害や渋滞対策を強化するほか、自動運転や「自動物流道路」の基盤インフラとして高速道路網を生かす。高速道路と都市などをつなぐ高速道以外の道路も「シームレスネットワーク」として政策対象に含める。整備の必要性は交通量を中心としたB/C(費用便益比)にとどまらず、医療や防災など多様な視点を取り入れた評価手法で判断する。道路の枠を超えた発想と機能の導入で、地域社会の課題解決や経済成長などにつなげる。ただ、政策案は費用負担者の拡大も示唆しており、公共事業が再び肥大化する懸念も残る。

政府が7月に閣議決定した「新たな国土形成計画」に基づき、次世代高規格道路網の基本方針や役割、今後の検討事項などを盛り込んだ「中間とりまとめ案」を示した。高規格道路は高速道と一般国道の自動車専用道などを指す。

シームレスネットワークの構築には、交通需要との連携が重要との観点から、変動料金制「ロードプライシング」の積極的な活用が有効とした。高速道の一般レーンに並行する特別レーン「マネージドレーン」を渋滞緩和用で導入し、時間帯や混雑状況などに応じた課金方法を検討する。「ETC2・0」などのデータを活用し、交通需要マネジメントを行うデータプラットフォームも構築する。

自動運転車や電動車に対応した道路機能の高度化も進める。自動運転車と道路インフラ間で情報連携ができるよう次世代ITSの整備を進める。サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)や「道の駅」などに、自動運転と非自動運転の切り替え拠点とする交通ハブ機能を備えることも検討する。防災拠点としての機能も強化する。

既存の高速道路空間を活用し、自動車に頼らない「自動物流道路」の構築も視野に入れる。物流危機や脱炭素化の対応として「今後10年をめどに早期実現を目指す必要がある」とした。

次世代高規格道路網を最大限に有効活用する視点から、再生可能エネルギー由来の電力などを広範囲に送る「電力ハイウェイ」や、頻発する集中豪雨に対処するための調整池や導水などの治水機能など、これまでの発想を超えた機能の導入も検討する。

ただ、政策案は、こうした政策の実現に必要な財源として、利用者に加えて利便性を享受する地域を含めた費用負担も検討する必要性がある、としている。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月25日号より