国土交通省は24日、2024年度予算概算要求を公表した。一般会計で23年度当初予算比19.9%増の7兆389億円を計上した。防災・減災対策、環境対応、デジタル化の分野に重点配分した。自動車局(物流・自動車担当)は23年度当初予算と比べて約202億円増の約874億円を要求する。物流の「2024年問題」対策のほか、自動運転車の環境整備や日本の技術・基準の国際標準化などに関する予算を増額し、産学官連携で自動車産業の競争力強化につなげる。自動車整備士の人材確保や育成に向けた予算の要求額も増やした。
同省自動車局は、10月1日から総合政策局の物流関係部門と自動車局が統合して「物流・自動車局」(仮称)になる。今回は新体制として初めの予算要求だ。
2024年問題に対する施策は、政府が6月にまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、①商習慣の見直し②物流の効率化③荷主・消費者の行動変容―の3本柱に関する対策費を盛り込んだ。
また、自動運転「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の実用化に向け、システムによる「判断」のあり方に関する調査を行う。自動運転車が道路設備などからのインフラ支援と協調した安全確保のあり方も検討する。
また、自動車技術や基準の国際調和も主導していく考え。国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の副議長国という立場も生かし、産学官一体で取り組む。
3月にまとめた「自動車整備の高度化に対応する人材確保の対策」に沿って、整備人材の確保や育成、整備事業の生産性向上も急ぐ。予算要求額を23年度当初予算から1.7倍に増やし、若年層への自動車整備士のPR強化や、先進技術の研修を通じたリスキリング(学び直し)を進めていく。
貸切バスと軽貨物自動車の安全確保に向け、新規で1億9千万円の予算を計上し、運転者に対する指導・監督マニュアルの作成や、法令セミナーの実施などの対策を打つ。高齢運転者の事故防止対策に関する予算の前年度当初の3倍を要求する。高齢運転者の特性データを集め、人工知能(AI)で解析するなどして事故防止対策につなげる。
過去に自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れた分の返済は、金額を明示しない「事項要求」とする。毎年度の繰戻額は、大臣間合意に基づき、財務省と協議して決めているが、24年度も23年度と同水準(当初60億円)を求めていく考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月25日号より