国土交通省と高速道路会社は、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)で大型車の駐車場整備に着手する。2024年度は、東名阪下り線の旧鈴鹿本線料金所跡地(三重県)の「大型車専用駐車場」など、全国6カ所で駐車枠を増やすなどする。専用駐車マスの拡充などを通じて、トラックドライバーが確実に休憩や休息を取れるようにし、労働環境の改善につなげる。
国交省が昨年暮れに公表した「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」に基づき、高速道路会社が4月以降に行う具体的な対策実施箇所を選定した。順次、整備に着手する。
駐車マス不足が深刻な大型車の対策として、山陽道下り線の佐波川SA(山口県)の園地部を大型車専用駐車として拡充し、複数縦列式(コラム式)駐車場を導入する。東名阪下り線の本線では遊休地となっている旧鈴鹿本線料金所跡地を活用し、大型車専用駐車場を整備する。
東名上り線の鮎沢PA(神奈川県)は、園部地を整備して立体駐車場を導入する。1階は大型車、2階は小型車などと階層別に駐車できる車種を区分けし、電気自動車(EV)の充電設備も設置する。既存の小型車マスは大型車マスに切り替えていく。
〝休憩施設空白区間〟を解消するため、北関東道桜川筑西インターチェンジ(IC、茨城県)と常磐道浪江IC(福島県)で、既存IC内側駐車場の一部を駐車マスとして活用する。
東北道の阿武隈PA(福島県)と菅生PA(宮城県)間には、画像処理技術や赤外線レーザー、LiDAR(ライダー)などを活用し、路線内のSA・PAの混雑状況を正確に把握してドライバーに情報提供する設備を導入する。
満空情報は場内の案内板やスマートフォンアプリでリアルタイムに提供する。文字情報だけでなく、音声による運転中の情報提供も検討する。路線単位で情報提供することで、並行路線も含めた交通流の平準化にもつながる。
国交省と高速道路会社は、SA・PAの大型車駐車マスを18年度からの5年間で約3千台分増やし、全国で約3万台分を確保した。それでも全国の約5割のSA・PAで、平日の大型車駐車マスが不足しているのが実情だ。「物流の2024年問題」への対応も含め、SA・PAのさらなる利便性・機能性の向上に向けた取り組みを進める。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月8日号より