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自動車業界トピックス

国交省の「自動車整備業での仕事体験事業」 志望者増加に期待

継続に向け見直しも視野に

「自動車整備業における仕事体験事業」は、国交省が今年度から始めた。高校生らを対象に、受け入れ事業者が独自に企画した3日間の仕事プログラムを体験してもらう。プログラム内容は、自動車整備に関する最新の設備・技術などを目にしたり触れたりできる機会や、現場で働く整備士らとの懇談会など、受け入れ事業者によってさまざまだ。

エーミング作業を学ぶ学生(スズキ自販東京のスズキアリーナ三鷹、国交省提供)

国交省自動車整備課によると、7月24日から9月16日まで実施した初回は、高校生を中心に200人超の参加申し込みがあった。仕事体験後に行った学生に対するアンケートの結果からは、「参加して良かった」「将来の進路先として整備士を考えるようになった」など、整備士の興味・関心度が高まったと回答した学生が9割を超えた。同課は「真剣に仕事体験に向き合う学生がほとんどだった」と語った。

学生の受け入れを希望した整備事業者は約1100事業場で、業態別ではディーラーが半数を超えた。就職活動生向けのインターンシップの実施経験やノウハウなどを持っていることから多くの参加につながったようだ。自動車用品販売店や自動車部品卸業からの参加もあった。

少子高齢化などを背景に、整備士不足は年々、深刻さを増している。近年の自動車整備専門学校・整備大学校の入学者数はピーク時の半分以下で、多くの学校関係者が入学志願者の確保策に頭を悩ませている。整備専門学校・大学校の学生減少は、企業の採用活動や事業活動に影響を及ぼし始めている。

こうした現状の中、整備士のなり手を開拓・育成するためには「(整備士を志す)若年層を増やすことが非常に大事なこと」と、国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は話す。整備人手不足を解決しなければ〝整備難民〟が増え、自動車を利用したさまざまな企業活動や国民生活に影響が出かねない。

鶴田物流・自動車局長は、同事業をきっかけに「1人でも多くの若者が整備士の仕事に興味・関心を持ってもらえれば」と期待する。初回の参加学生や受入事業場の関係者らから寄せられた意見や要望から、同事業を幅広くPRする情報発信力が不足していることも明らかになった。国交省は、来年度以降も同事業を続けたい考え。第2弾の終了後に成果や課題をあらためて分析するとともに、学生と受け入れ事業者の双方が満足できるよう、事業内容を見直していく考えだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月13日号より