自動車を使った移動について、買い物や観光などの「私事目的」が増え、仕事に関連する「業務目的」が減る傾向が続いていることが国土交通省の「自動車起終点調査(OD調査)」で分かった。国交省は詳細な分析結果を来年度中に公表する予定だ。
OD調査は全国規模の自動車利用実態調査で、道路行政に役立てることを狙いとして1985年度から5年ごとに実施している。今回はコロナ禍で2020年度調査を1年延期し、21年度実績としてまとめた。
この調査では、自動車を使った移動目的を営業用車の「営業」と自家用車の「帰社・帰宅」「私事」「業務」「通勤・通学」に区分している。今回は「帰社・帰宅」が37%と最も構成比が高く、次いで25%の「私事」だった。15年秋に実施した前回調査と比べても大きな変化はない。
ただ、1990年からの推移を見ると「私事」の構成比率は約30年間で13%から25%にまで拡大した。一方、仕事に関連する移動など「業務」は26%から15%に減少した。また、タクシーやバスなど営業用車による移動の「営業」は前回調査から1%減少し、長期的な傾向としては10%前後で推移している。
車種別の平均輸送人数については、乗用車が前回調査から「ハイヤー・タクシー」「自家用車」ともにやや減少した。貨物車は「自家用」がやや増加した一方、営業用はやや減少した。
1回の移動に伴う車種別の平均走行距離(平均トリップ長)は、乗用車、貨物車ともに前回から延び、自家用乗用車は10.8㌔㍍。平均トリップ長が最も長いのは営業用貨物車の45.0㌔㍍で、前回調査より2.6㌔㍍延びた。
車種別のトリップ長分布は、乗用車、貨物車ともに前回調査から大きな変化は見られない。長期傾向として、短距離帯(10㌔㍍未満)の割合は、乗用車がやや増加傾向で、貨物車が減少傾向にある。