輸入車各社が日本市場で電気自動車(EV)の販売攻勢をかける。ステランティスグループであるFCAジャパンとグループPSAジャパンは18日、年内に合計6車種の新型EVを投入する計画を発表した。アウディジャパンも量産EV「Q4e―tron(イートロン)」を今秋市場投入するなど、EVラインアップを拡充して国内のEV販売比率を2025年までに35%に引き上げる計画。2021年の国内市場でEV販売に占める輸入車ブランド比率は4割を超えており、国内EV市場は海外ブランドが主導する。国産EVも年内に相次いで新型車が投入される予定で、国内市場でEV販売競争が本格化する。
FCAジャパンとグループPSAの両社のトップを務めるポンタス・ヘグストロム社長は18日、年頭の記者会見で7日に発表したシトロエンの「E─C4」に続いて、フィアット初のEV「500e」、アルファロメオの「トナーレ」など、年内にEVの新型車6モデルを投入する方針を明らかにした。
20年に投入したプジョーの小型SUV「2008/e―2008」のうち、EV比率は13%を占める。DSブランドの「DS3クロスバック」のEV比率は21%。ヘグストロム氏は「ステランティスグループは欧州で高い電動車シェアを獲得している。日本のEV市場は今年、飛躍的に伸びる」と述べ、EVラインアップを拡充して販売を伸ばす方針を示した。
アウディジャパンも国内市場では3車種目で、価格が599万円からのEVであるQ4イートロンを今秋に市場投入する。マティアス・シェーパースブランドディレクターは「日本のEV市場は欧米、中国の水準に至っていないが、ここ5~10年が勝負になる」と述べ、日本のEV市場開拓に注力する。24年までに新型EVを15モデル投入し、25年までにEV販売台数を1万台以上、販売比率35%に引き上げる計画。販売ネットワークの急速充電器の整備も加速する方針だ。
フォルクスワーゲングループジャパンも量産EV「ID.」シリーズを年内に市場投入する方針。さらにメルセデス・ベンツ日本はEVブランド「EQ」シリーズのモデルを複数投入するほか、ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)はEV「i4」を市場投入する。
日本自動車販売協会連合会(自販連)がまとめた統計によると、21年の輸入車のEV販売台数は8605台だった。テスラモーターズジャパンが量販モデル「モデル3」の価格を値下げしたことなどで20年実績から倍増した。輸入車販売全体のうちEVが占める比率は8.8%で、国内市場でのEVは海外ブランドがけん引している。
ただ、日本の自動車メーカーも22年にEVの投入を本格化する。トヨタ自動車は「bZ4X」、スバルが「ソルテラ」、日産自動車が「アリア」をそれぞれ市場投入する。三菱自動車と日産は共同開発する軽自動車のEVを投入する。EV市場巻き返しに向けた日本勢の動きが本格化する見通しで、販売競争が激化する。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月19日号より