日本政府の支援を受け、国連基準に合致した東南アジア諸国連合(ASEAN)初の自動車認証試験場=写真は完成イメージ=がインドネシアにできる。ASEAN域内での輸出入円滑化や同国自動車産業の競争力向上が期待できる。ASEANに多数、進出している日本の自動車メーカーにも恩恵が及びそうだ。
インドネシア政府が官民連携で整備を進めるブカシ自動車認証試験場(西ジャワ州ブカシ県)の設計建設・保守事業に、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、豊田通商らが参画する。2025年2月の竣工予定だ。
豊通は、JOIN、現地パートナー企業と新たに事業会社を設立。同国運輸省から委託を受けて自動車認証試験場の設計・建設・保守事業を行う。ASEANの域内相互承認協定(MRA)に基づき国連基準(UNR)16項目の認証試験を行える施設の設計、建設に加えて、竣工後15年間の保守事業を担う。電動車の認証試験も対象だ。
同国には日系自動車メーカーが多数進出し、販売シェアで9割を超えるアジアの重要な生産・販売拠点。現在、同国生産の車両をASEAN域内に輸出する場合、輸出国で型式認証を再取得する必要がある。国連基準に対応した試験場を整備することで、インドネシアで認証試験を受けた車両をASEAN域内に輸出しやすくなる。
日本政府は、日本企業のインフラ海外展開を支援する取り組みを進めており、JOINを14年に設立した。今回のJOINによる出資額は最大で約14億円。国土交通省は「日本の知見や経験を生かし、現地の人材育成も支援していきたい」とした。
11月にはG20バリ・サミットに出席した岸田文雄首相がインドネシアのジョコ大統領と会談し、試験場や自動車ターミナルを備えるパティンバン新国際港などのインフラ分野での取り組みについて意見交換し、引き続き協力していくことで一致していた。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月9日号より