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自動車業界トピックス

大手部品サプライヤー、ティア2以下の仕入れ先に脱炭素支援

デンソーは専門組織

自動車部品サプライヤー大手がティア2(二次部品メーカー)以下の仕入れ先に対して生産活動での二酸化炭素(CO)排出量を削減する取り組みの支援に乗り出している。デンソーは仕入れ先の脱炭素化の支援を専門とする組織の立ち上げを検討する。2020年に世界で400以上展開しているすべての自社拠点でカーボンニュートラルを達成した独ロバート・ボッシュは、生産活動での脱炭素化ノウハウを企業に販売する活動を始めた。将来的にサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現が部品メーカーの競争力に影響することから取引先を含めた脱炭素化の取り組みが広がる。

デンソーは製造設備からCO2を回収して再びエネルギー源として活用するCO2循環プラントを実証している

デンソーは2035年までにCO排出枠を外部から購入せずに、世界に約200ある工場で完全なカーボンニュートラルを実現する環境戦略を掲げる。安城製作所(愛知県安城市)にある「電動開発センター」には製造設備からCOを回収して再びエネルギー源として活用する「CO循環プラント」を実証しており、35年までに実用化する。加えて、工場の省エネルギー活動の徹底や再生可能エネルギーの導入など、ものづくりで脱炭素化する技術やノウハウを蓄積している。

サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する「スコープ3」達成を視野に、自社工場での脱炭素化の取り組みと併行して、仕入れ先の脱炭素化も積極的に支援していく。ティア2以下の仕入れ先に対して投資を抑えながら、ものづくりを脱炭素化する手法を提供する方針で、今春以降、支援の専門組織を立ち上げる予定。

デンソーはサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを着実に進めるため、QRコードとブロックチェーンを活用してライフサイクル全体のCO排出量の履歴を残す仕組みも開発する。仕入れ先を含めて生産活動でのCO排出量を把握して改善するのに役立てる。

また、他社に先駆けて自社工場でのカーボンニュートラルを達成したボッシュは、取り組みを他企業に販売している。資本力の小さい部品メーカーなどは工場でのCO排出量削減のやり方に困っているケースも少なくない。ボッシュはボッシュクライメートソリューションズを設立し、ものづくりでのカーボンニュートラルに向けてコンサルティング事業を展開する。

このほかヨロズなどのティア1(一次部品メーカー)も仕入先のものづくり企業に対する支援策を検討している。

サプライチェーン全体の生産活動でのカーボンニュートラルを求められる自動車メーカーの一部は、ティア1に対して生産活動でのCO削減目標を示して脱炭素化を要請している。今後、自動車メーカーは仕入先を含めた生産活動でのCO排出量を部品選定の基準に導入するとみられ、部品メーカーは調達している素材や部品を含めた脱炭素化が競争力を左右することになる。

ただ、ティア2以下の資本力の小さい部品メーカーは全体的に脱炭素化の取り組みが遅れている。ティア1の仕入先に対する生産活動でのカーボンニュートラルの取り組み支援が本格化する見通しだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月9日号より