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自動車業界トピックス

実態解明へ一歩、損保ジャパンとビッグモーターに金融庁が立ち入り検査

両社の関係にメス

自動車保険金の不正請求をはじめ、数々の不祥事に揺れるビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)と、同社と親密な関係にあった損保ジャパンに対する金融庁の立ち入り検査が19日朝から始まった。一連の問題で、損保ジャパンに当局が立ち入るのは初めてで、現場には朝から報道陣が殺到した。立ち入った検査官は損保ジャパンが9人で、ビッグモーターが4人。検査官は明日以降も適宜、立ち入りを行うという。

ビッグモーター多摩店へ立入検査に入る金融庁の検査官

東京・西新宿にある損保ジャパンの本社ビル1階には朝からテレビや新聞など報道陣約50人弱が待ち構えた。

9時40分ごろ、報道陣は緊張感に包まれた同社の広報に地下1階の車寄せに案内された。同55分ごろにタクシーで乗り付けた検査官9人が一列でビルの中に入っていった。検査官はマスクをしていたがベテランという年齢の職員が目立った。金融庁職員が入った後、報道陣はすぐ会社の敷地から出るよう促された。

ビッグモーターの本社機能が10月から移る同社の多摩店(東京都多摩市)でも8時頃から約40人の報道陣が集まった。撮影のためのヘリコプターが上空を旋回し、何があったのか、通行人が何度も覗き込むシーンもあった。9時にタクシーで訪れた検査官4人が建物の中に入っていった。

多摩店は車検や整備の工場がある大型店舗だが、工場にはシャッターが下ろされていた。オフィス棟も、正面玄関を除いてすべての窓に日よけが降ろされ、内部の様子はうかがえない。ただ、工場、オフィス棟とも人気(ひとけ)がなかった。

鈴木俊一財務相兼金融担当相は19日、両社についてなぜこのような状態になったのか、管理体制や経営の根幹まで包括的な検査をしていく方針を強調した。その上で「保険契約者保護の観点から法令上の問題があれば厳正に対処していく」と話した。

「警察や国交省に比べて立ち入り検査に入るのが遅いのではないか」という質問については「手順を追ってやることが必要だ。立ち入りは今日だが、9月4日から検査に入っている」と理解を求めた。

多くの省庁や捜査機関がそれぞれが所管する法令違反容疑でビッグモーターを調べている。政府全体で対応を調整する可能性について、鈴木担当相は「今のところ各省庁が一括して対応することは想定していないと私は思う」と語った。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月20日号より