日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)は、税制改正要望活動を前倒して実施する方針を明らかにした。要望根拠を集めるアンケートや要望書の作成時期を早める。アンケートの設問には「走行距離課税」の是非などを新たに加える。自動車税制の見直しをめぐっては昨年末、走行距離課税や「モーター出力課税」が浮上したが、最終的には、現行の「エコカー減税」の期限到来時までに検討を進めることになった。JAFはこの期間中、政府・与党への要望活動や世論喚起にかける時間を増やし、自動車税制の「簡素化・負担軽減」を目指す。
JAFは毎年、全国18歳以上の自家用乗用車保有者を対象とした自動車税制に関するアンケートを7~9月に実施している。昨年は7月11~31日に実施した。今年は5月に実施し、前回(約13万5千人)を上回る20万人の回答者数を目指す。設問も、走行距離課税やモーター出力課税の是非などを追加する。
回答者数を増やすため、JAF会員向けのメールマガジンでアンケートへの協力を求めるほか、「ツイッター」などSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も活用し、多くの自動車ユーザーに回答を呼びかける。自動車業界団体にも協力を求めていく。毎年11~12月に全国のJAF支部と自動車団体で実施する街頭活動も開催回数を増やす方向で検討する。
JAFは、アンケート結果をもとに、翌年度の税制改正に関する要望書を9~10月頃にまとめて公表するが、この時期も早まることになりそうだ。
政府・与党の税制改正議論は例年、12月上旬から中旬にかけての短期決戦だ。歳入・使途とも複雑な自動車税制を見直すには「議論の時間が短い」との指摘も国会議員から出ている。JAFとしては税制見直しに関する世論を喚起するとともに、早期に自動車ユーザーの声を政治の場に届け、自動車税制の活発な論議を引き出す契機ともしたい考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月14日号より