岸田文雄首相は23日の施政方針演説で、2025年をめどに全都道府県で自動運転の社会実験を実施する方針を示した。都市部や過疎地など、地域ごとに異なる自動運転のニーズを拾い上げ、将来の社会実装に生かす。また、高速道路の老朽化対策に関しても取り組みを進めるとした。
通常国会が23日に召集され、岸田首相が冒頭に施政方針演説を行った。防衛力の抜本的強化を図るため増税の必要性を改めて強調したほか、10年間で150兆円超の投資を引き出す「成長志向型カーボンプライシング」の導入に関しても、関連法案を今国会に提出する方針を示した。また、足元のエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の運転期間の延長や建て替えも進めていくとした。
モビリティ関連では、25年をめどに全都道府県で自動運転の実証を行う。政府はすでに、25年度頃までに無人自動運転サービスを40カ所で実施する目標を掲げているが、全国を網羅することで、地域の特色をより反映した形で導入していく。
また、高速道路に関しては、老朽化対策と4車線化などの進化・改良の取り組みを着実に実施するための制度整備を行うとした。
岸田首相はまた、昨今の物価高を乗り越えるには「物価上昇を超える賃上げが必要だ」とし、労働市場改革にも意欲を示した。
今国会の会期は6月21日までの150日間。与野党内で是非が分かれる防衛増税や、岸田首相が掲げる「従来とは次元の異なる少子化対策」などについて議論が交わされる見通し。与党はまず、総額で約114兆円にのぼる来年度予算の年度内成立を目指す。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)1月24日号より