国土交通省は、幼稚園児(3~6歳)の送迎で使用されるバスのシートベルトに関するガイドラインを公表した。幼児自身で正しく脱着できるよう、2点式の巻き取り装置付きシートベルトが適切であるなどの要件を示した。今後、自動車メーカーに対し、ガイドラインに基づいたシートベルトを備える幼児用バスを2026年度中をめどに市場投入するよう要請する。
有識者などで構成する「車両安全対策検討会」で、幼児用バスの事故実態の分析結果や、日本自動車工業会(片山正則会長)による安全評価試験の結果などを踏まえてガイドラインをまとめた。
幼児用バスの幼児用座席に適したシートベルトとして、2点式の巻き取り装置付きのほかに「一般的なシートベルトより小さいサイズと操作力」「取り付け部の強度などは一般的なシートベルトと同様」とすることが適切だとした。
衝突時や横転時の安全性確保の効果をより高める上で「シートバック(座席背もたれ部)の後面に緩衝材を追加し、高さを変更することも合わせて行うことが望ましい」とした。
全ての幼児用バスに装備を義務付けることはせず、使用実態に応じ、使用者が新車購入時に2点式の巻き取り装置付きシートベルトの装備を選択できるようにする。幼児用バスに関する事故が着実に減少していることや、使用者の費用負担などを踏まえた。
国交省の調べによると、12~21年の10年間において、幼児用バスが関係した死亡者数はなく、重傷者数は5人、軽傷者数は194人だった。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月27日号より