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自動車業界トピックス

政府、「グリーン成長戦略」大幅改定 自動車・蓄電池に2030年以降の工程表

乗用車の新車販売を全て電動車に切り替える時期を2035年と明示

政府は、2050年の温室効果ガス実質ゼロ化と経済の好循環の両立を目指す「グリーン成長戦略」を大幅に改定した。同戦略は経済産業省を中心に関係省庁が連携してまとめているもの。成長が期待される14分野の一つに位置づけられる「自動車・蓄電池産業」では、30年以降の工程表を盛り込むなど、20年末に策定した内容をより具体化した。経産省は、脱炭素技術の開発進展や国際的な環境変化に応じて、今後も柔軟にグリーン成長戦略を見直していく。こうして実効性の高い戦略を随時打ち出し、世界トップレベルの技術競争力の確保を目指す。

成長が期待される14分野

グリーン成長戦略に盛り込まれた成長分野には、政府が新設した2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」を投入するなどして、世界をリードする技術開発や社会実装に取り組んでいく方針。この一つとなる自動車・蓄電池では今回、50年までの戦略を明記した。初策定時には、乗用車の新車販売を全て電動車に切り替える時期を30年代半ばとしていたが、これを35年と具体的に示した。

商用車の新車は、小型車を40年までに電動車もしくは脱炭素燃料車のみとする。大型車は30年までに改めて40年目標を定める。電動車に加え、自動運転の普及などによる50年のモビリティ社会の理想像も探っていく。

蓄電池では30年までの工程表の中に「鉱物資源の確保」を付加した。世界中で電動車シフトが加速する中、次代の自動車市場の主導権争いでは、蓄電池の性能向上と供給体制が鍵を握る。その一方、高性能化で重要な希土類(レアアース)や希少金属(レアメタル)などの鉱物は、特定の国や地域からの供給に依存している。経済安全保障の観点を含むリスクの軽減を狙い、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じた資源探査の強化やレアメタル備蓄制度の整備を進める。30年以降は車載用をはじめとしたさまざまな蓄電池を活用し、国内の電力調整に生かしていく。

また、今回のグリーン成長戦略では重要分野の項目自体が見直された。前回、独立していた「水素」と「燃料アンモニア」を統合し、同一分野として方向性を示した。「カーボンリサイクル」の分野に鉄鋼をはじめとする「マテリアル」を加えるなど、整理した。経産省では国内外の環境変化を踏まえつつ、今後も相乗効果が生みだせるように項目建ても見直す考えだ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月22日号より