政府は6日、「物流革新緊急パッケージ」を関係閣僚会議でまとめた。再配達の削減に向けて「置き配」の利用者にポイントを付与したり、鉄道や内航海運への「モーダルシフト」を促す。荷役作業の効率化を促す機器の導入支援も盛り込んでおり、商用車に装着する「テールゲートリフター」などの補助制度も拡充されそうだ。10月下旬にもまとめる経済対策に反映させる。
6月に公表した「物流革新に向けた政策パッケージ」の中から、迅速に取り組むべき施策を緊急対策として抽出した。▽商習慣の見直し▽物流の効率化▽荷主・消費者の行動変容―を3本柱とする構成に変更はない。
まず、物流事業者や荷主企業の物流施設の自動化・機械化を推進する。中・大型コンテナの利用拡大で鉄道、内航海運の輸送量・分担率を伸ばしてモーダルシフトを進める。物流拠点の機能強化やトラックドライバーの労働負担軽減などに対する支援策も盛り込む。
「トラックGメン」による荷主・元請事業者の監視体制を強化する狙いから、毎年11、12月を「集中監視月間」とする。宅配の再配達率12%を半減する緊急的な取り組みとして、ポイント還元を通じて置き配などを促すサービスの実証を行う。開始時期や仕組みなどは今後詰める。
物価動向の反映や、荷待ち・荷役の対価などを加算した「標準的な運賃」の年内にも引き上げる。適正な運賃の収受や賃上げについては、次期通常国会で法制化を目指す。大手荷主・物流事業者を対象に、荷待ちや荷役時間の短縮をするための計画作成を義務付けるなど、商習慣の見直しに関する一部の政策には強制力も持たせる。
19年6月改正の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)に基づき、来年4月からトラックドライバーなど自動車運転者に対する「年960時間(休日労働含まず)」の時間外労働規制が適用される。昨年末に改正された「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準(改善基準告示)」も同時に適用され、1日の拘束時間(労働時間+休憩時間)などの基準も強化される。政府はこうした措置に伴う輸送力不足を補うため、政策を総動員して物流インフラを維持したい考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月7日号より