政府は「自動運転サービス支援道」を高速道路の一部に整備する計画をまとめた。路側設備や通信機能を備え、自動運転「レベル2」(高度な運転支援)から「レベル4」(特定条件下での完全自動運転)の商用車を走らせる。2033年度までに東北から九州まで整備する。一般道路でも、バスや低速車両を想定した自動運転サービス支援道を約100地域に整備する。
岸田文雄首相の肝入り政策である「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の一環として、8省庁や自動車メーカーなどで構成する「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」がこのほど計画案をまとめた。機関決定などを経て、関係省庁が開発や整備などの体制作りや予算措置に入る。
自動運転サービス支援道を「自動運転車の走行を支援し、安全性を高める運行環境の提供や、ヒヤリハットなど走行データの共有を行う環境」と定義した。具体的には、路側カメラや磁気マーカー、センサー、路車間通信などを備え、車両側のシステムと連携しながら自車位置の特定や「先読み情報」の提供、トラブル対応などをこなせるようにする。一般車も走れるが、一部の区間は自動運転車優先レーンとする。
高速道路ではまず、24年度に新東名高速道路の駿河湾沼津~浜松間(約100㌔㍍)を整備し、26年度までには東北自動車など仙台~東京間に広げる。最終33年度までに東北~九州間で自動運転サービス支援道を整備する。
一般道路では、24年度から茨城県日立市のJR大甕(おおみか)駅周辺で自動運転バスの運行を始める。こうした自動運転車両を常時、運行できる地域を26年度までに50地域、33年度までに100地域以上に広げる。
政府は自動運転サービス支援道の整備を通じ、トラック運転手不足や移動制約者など社会課題の解決を目指す。また、自動運転車の開発や関連産業の創出を間接的に後押しする効果も見込む。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月12日号より