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自動車業界トピックス

政府、「自動運転支援道」を一般道にも 官民連携で路線バス実証

物流・旅客輸送をテコ入れ

政府は、輸送用車両の自動運転実証のため「自動運転支援道」を一般道に設ける。2024年度から官民連携による自動運転路線バスの実証走行を茨城県日立市で実施する方針を固めた。高速道路の一部区間に自動運転支援道を設ける計画はすでに公表済みだが、一般道における設置計画は初めて。運転者不足により輸送サービスの安定提供が懸念される物流・旅客輸送をテコ入れする。

自動運転路線バスでは運転者不足解消などにつながる

JR大甕(おおみか)駅近隣に整備しているバス高速輸送システム(BRT)「ひたちBRT」専用路線(約6㌔㍍)周辺にある一般道、約2㌔㍍を自動運転支援道の先行地域と位置付ける。BRT専用道路と一般道、回送区間を含め「JR多賀駅~大甕駅~日立南営業所」を結ぶ。一般道の自動運転支援道を専用道路あるいは優先道路のどちらにするかは今後、検討する。

ひたちBRTは、みちのりホールディングス(松本順CEO、東京都千代田区)が18年度から22年度まで「レベル2」(高度な運転支援)の路線バスを有償運行していた。同市を自動運転支援道の一般道先行地域とするのは、BRTの走行実績を活用することができるためだ。

自動運転支援道には、車両検知センサーやカメラなど、自動運転路線バスの自車位置測位精度を向上させるための設備・機器を交差点や路肩周辺などに整備する。信号情報提供システムや、自動運転に必要な遠隔監視・運行管理のための通信環境も整える。

同社は、23年度にBRT専用道路内「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の運行許可取得を、24年度にレベル4車両の定常運行、25年度には乗務員が乗車しないレベル4運行を目指している。今後は、自動運転支援道の保守・運用の担い手としても参画し、本格的な自動運転路線バスの社会実装に乗り出す。将来的には、日立市の事業モデルを同社グループが展開している他地域の自動運転車プロジェクトに展開する考えだ。

政府はこれまでに、高速道路における自動運転支援道の先行地域として、24年度に新東名高速道の「駿河湾沼津サービスエリア(SA)~浜松SA」間に設置することを公表している。25年度以降には、東北自動車道6車線区間の一部にも設ける計画だ。高速道では、自動運転トラックの走行を想定する。自動運転走行の安全性を高めるための道路・通信インフラも整備する。

自動運転やドローン(無人機)などのデジタル技術を活用し、人手不足に伴う人流・物流危機の解決策を探る官民会合「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」で、約10年の中長期的な実証計画を盛り込んだ中間取りまとめ案がこのほど示された。具体的な整備計画などは今年度内にまとめる。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月21日号より