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自動車業界トピックス

政府、「骨太の方針2022」原案 エネルギー安全保障を強化

税体系見直しも明記

政府は、31日に首相官邸で開いた経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2022」の原案を示した。「人への投資」など岸田文雄首相の看板政策「新しい資本主義」の実現に向けた重点取り組みのほか、ウクライナ情勢の長期化など厳しさを増す国際環境の変化を踏まえた経済安全保障、エネルギー安全保障の強化などを盛り込んだ。今後、与党との調整を進めて7日にも閣議決定する予定だ。

中長期の経済財政運営については「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と明記。デフレ脱却やコロナ禍からの回復など、経済の立て直しを財政健全化の取り組みより最優先とした。

内外の環境変化に対応した新たな国家安全保障戦略などの策定に当たり、経済安全保障を重要な課題と位置付ける。内閣府に「経済安全保障推進室」(仮称)を設置し、複数の省庁にまたがる問題に対応する。インテリジェンス能力を強化するため、情報の収集・分析などに必要な体制を整える。

また、エネルギー安全保障では、脱炭素のエネルギー源を安定確保する上で「安全最優先の原発稼働」と「原子力防災体制の構築」の必要性を示した。化石燃料・資源のロシア依存度の低減や供給途絶への対策として、ロシア以外の調達先の多角化を進める。燃料供給体制の強化に向けて、石油備蓄放出の機動性向上やサービスステーション(給油所)事業者の経営力強化に取り組む。特に、液化天然ガス(LNG)は国による調達関与を強める。

中長期の経済財政運営に関する方針の中で、税制改革にも触れた。「少子高齢化やグローバル化などの経済社会の構造変化に対応したあるべき税制の具体化に向け、包括的な検討を進める」とし、「経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を確保するため、税体系全般の見直しを推進する」と明記した。また、新たな国際課税ルールへの対応も進める。

議長を務めた岸田首相は「直面するさまざまな社会課題について、官か民かではなく、官と民が協力して解決に取り組む枠組みが必要だ。新しい資本主義は、正にそのための枠組み」と述べた。その上で「官と民が協力して課題解決に向けた投資と改革を大胆に実行することで、社会課題の解決と経済成長を同時に達成し、成長と分配の好循環を実現していく」と強調した。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月2日号より