政府は10日、普通トラックなど新たに67品目のロシア向けの輸出を禁止すると発表した。17日から施行する。新車トラックの輸出台数は年間約6千台に上るほか、中古車の仕向け地でもロシアは上位に入る。自動車メーカー、中古車輸出事業者といった日本の企業にも広く影響が出そうだ。
10日に「外国為替及び外国貿易法(外為法)」の一部改正を閣議決定し、17日から禁止措置を取る。対象に加わったのは67品目。これまでは軍事転用の可能性が高い物品が中心だったが、今回は「ロシアの産業で使われるモノ全般に対象を広げた」(経済産業省担当者)。
今回の禁輸対象は、昨年の日本からロシアへの総輸出額約8600億円の約5%、430億円相当に当たる。その大半を占めるのは、車両総重量が5㌧以上20㌧未満の中型・大型トラックやダンプカーなどだ。
日本自動車工業会(自工会)によると、昨年のロシアへの新車普通トラックの輸出台数は5926台。統計局のデータによると、普通トラックを含むトラック全体の中古車の輸出台数は約8900台で上位の仕向け地となる。新中ともに一定規模の車両の輸出が禁じられることから、経産省担当者は、「自動車メーカーなど日本企業への影響は一部である」と見込む。
すでに政府は、高性能半導体や特殊車両のディーゼルエンジン、ロボットなど軍事転用の可能性が高い品目や600万円超の乗用車など贅沢品に関してもロシア向けの輸出を禁じており、今回で対象は165品目となった。
日本は米国や欧州連合(EU)と足並みをそろえる形で段階的に禁輸措置を講じており、ロシアへの輸出額は、3月は前年同月比約3割減、4月は同7割減になっている。今回の禁輸措置で輸出額はさらに縮小が見込まれており、今後の動向が注視される。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月11日号より