政府は、中小の運送事業者を対象としたトラックの購入補助事業で、申請台数の制限を12月5日受け付け分から撤廃する。認証不正問題で日野自動車が一部トラックの生産を見合わせていることや、部品不足で日野以外の車両も納期が長期化していることから、例年になく申請ペースが低調なためだ。これまでも2回、台数制限を緩和したが、補助金の残額は翌年度に繰り越しできないため、3度目の緩和に踏み切る。
国交省と環境省による「低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業」の補助実務を担う環境優良車普及機構(LEVO、岩村敬会長)が24日までに公表した。「1業者10台まで」としていた申請台数の制限を、12月5日の申請受け付け分から撤廃する。申請受け付けが始まった5月から現在までに申請したり、補助金の交付を受けた事業者も追加で申請できる。2023年1月末まで受け付ける。
今年度の予算額は29億6500万円。今月22日時点で、申請台数が3464台、補助金申請額が約11億4千万円、残額が約16億5900万円だ。この事業は14年度からほぼ同額の予算で実施しており、例年は補助金をすべて使い切っていた。
今回、下期に入っても補助金残額に余裕があるのは、日野が認証不正問題に伴って大型・中型トラックの型式指定取消処分を受け、一部モデルの生産・出荷を停止していることが大きい。また、日野以外の大型車メーカーでも、半導体不足などで新車の納期が長引いている。両省は低調な申請ペースを踏まえ、当初は1事業者2台までだった条件を9月から同4台に、10月から10台に緩和していた。
この補助事業は、大型トラックの場合、15年度燃費基準が「+10%以上」の車両に買い替える場合は50万~75万円。「+5%以上」の場合は37万5千円~50万円の補助金が出る。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月25日号より