政府は12日、乗用車を含む38品目のロシアからの輸入を19日から禁止すると発表した。乗用車、二輪車の完成車に加え、車体部品やエンジン部品、駆動系部品なども対象とする。自動車関連を含め、ロシアからの製品や部材の輸入禁止措置を取るのは今回が初めて。経済産業省は「需要に占めるロシア産の割合をみると、日本の自動車産業への影響はそこまで大きくないのでは」と想定するが、企業は禁止措置への早急な対応を求められることになる。
ウクライナの首都キーウ近郊で民間人の遺体が多数見つかったことを受け、政府は侵攻を続けるロシアへの経済措置を強める。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、ロシアからの一部部品の輸入禁止措置を導入する。
輸入を禁止するのは「アルコール飲料」「木材」「機械類・電気機械」の38品目。自動車関連では、四輪車や二輪車の完成車の輸入を禁止する。また、内燃機関部品やブレーキ部品、ギアボックス、駆動軸、クラッチ部品、車体部品などの自動車部品も輸入禁止の対象とした。
日本における昨年のロシアからの輸入額は約1兆5千億円。このうち今回輸入を禁止したすべての品目が占める割合は約1.1%にとどまる。経産省は「(輸入額の数字は)大きくはない」と、影響は限定的と見ている。一方、企業には代替調達先の確保や安定したサプライチェーン(供給網)の維持が必要となり、対応が急がれる。
輸入禁止措置は12日に公布し、19日から施行する。施行前に契約した分については、施行後3カ月間は輸入を認める猶予措置を取る。
日本政府はロシアへの経済制裁として、3月18日からは高性能半導体や工作機械、特殊車両のディーゼルエンジンなどの輸出を、今月5日からは600万円超の乗用車などの輸出をそれぞれ禁止した。外為法に基づいてロシアからの物品の輸入を禁止するのは今回が初めてとなる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)4月13日号より