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自動車業界トピックス

政府、自動運転「レベル4」サービス 審査手続き期間を5分の1に

効率化で普及に弾み

遠隔監視など一定条件下で日本でもレベル4サービスが解禁された(遠隔監視のデモ)

政府は、企業などが「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の自動運転サービスを行う際に必要な審査や手続きを迅速化する。ガイドライン(指針)の作成や審査実績の共有など、申請と審査の両面で効率化を進める。今年度までに、これまで1年近く(約11カ月)かかっている手続き期間を原則2カ月へと約5分の1に縮める。一部規制も見直す。2025年度をめどに全国50カ所、27年度までに100カ所以上で実現を目指すバスやタクシーによる自動運転サービスの普及に弾みをつけたい考えだ。

政府は昨春、「レベル4」の許可制度などを盛り込んだ改正道路交通法を施行。企業などが「特定運行実施者」として「特定自動運行計画」を都道府県の公安委員会に提出して許可を得る仕組みをつくった。

すでに一部地域ではサービスが始まっているが「審査に必要な申請書類の記載方法が分かりづらい」との声が多く寄せられている。地方運輸局や都道府県の公安委員会に相談しながらの申請作業を強いられ、申請側、審査側の双方とも負担が大きい。このままでは普及の足を引っ張りかねないため改善を図る。

国土交通省はまず、自動運転車の安全確保に関する指針をつくり、道路運送車両法に基づく自動運転車の保安基準や安全評価方法を分かりやすく周知する。また、例えば交通量の少ない地域では適用する基準やセンサーなどの機器要件などを緩和することも検討している。

警察庁は、道路交通法に基づく特定自動運行の許可に関する申請書類の記載マニュアルをつくる。また、公安委員会が審査を行う際の着眼点も明示する。同一の車両を他地域で運行する場合など、申請書類の内容が重複する場合は記載を省けるようにもする。

デジタル技術も活用する。他地域でのサービス実施例や審査結果を企業がオンラインで参照できる環境を整える。審査側に対しては、過去の審査結果を共有する仕組みをつくり、手続きの円滑化や短縮に役立ててもらう。申請や審査のオンライン化も進めていく考えだ。都道府県単位の官民でつくる「レベル4モビリティ・地域コミッティ」でも、レベル4サービスの実装に向けた課題やノウハウの蓄積やコミッティ間の共有を促す。

政府は、人手不足やモビリティ(移動性)確保といった社会課題に対処するため、自動運転サービスの普及を目指している。日本初のレベル4サービスは福井県永平寺町で始まっており、第3セクターが運行を担う。ホンダや日産自動車、いすゞ自動車なども自動運転サービスの事業化を表明している。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月30日号より