政府は、自動運転「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の機能を担保するセンサーシステム開発などの支援に420億円を充てる。2兆円の「グリーンイノベーション(GI)基金」から拠出する。高度自動運転車では必要不可欠と言われるLiDAR(ライダー、レーザースキャナー)などのハード類に加え、オープン型基盤ソフトウエアの開発も支援対象とする。レベル4以上の自動運転車の本格的な普及が見込まれる2030年以降を見据え、早期の技術確立を目指す。

レベル4以上ではライダーが必須となる(写真はヴァレオ「スカラ第2世代」)

支援期間は30年度までの約9年間とする。420億円の内訳は、オープン型基盤ソフトウエアの開発に175億円、センサーシステムの開発に195億円などとしている。支援する際の要件として、レベル4の自動運転機能を担保することと、車載コンピューティングの消費電力を70%以上削減することを企業などに課す。

開発の支援対象となるセンサーはライダーのほか、ミリ波レーダーやカメラ類を見込む。センサー単体ではなく、ソフトウエアと一体化し、システム全体で省エネ化を図れる形を目指す。

ライダーは、レベル4以上の自動運転を実現する際のキーデバイスとなる。ベンチャー企業を中心に開発競争が激化している一方、投資回収のめどが立たず、事業から撤退する企業も少なくない。政府として有力な企業を補助金で支援することで、日本の自動車産業全体の競争力の維持につなげる考えだ。

また、420億円のうち、電動車両シミュレーション基盤の構築には50億円を充てる。デジタル・ツインを活用することで、検証期間を実機を用いた検証時から半減させることを求める。

GI基金プロジェクトとしてはこのほか、商用利用の電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の運行管理やエネルギーマネジメントに関する研究開発などに1130億円を拠出する。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月18日号より