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自動車業界トピックス

政府、蓄電池や半導体を「特定重要物資」に指定

供給網確保で国際競争力を維持

政府は、経済安全保障推進法に基づき支援する「特定重要物資」に、蓄電池や半導体を指定する方針を示した。特定重要物資は、供給の大部分を海外に依存していたり、これまでに供給が途絶したことがある物資を指定するもので、電池と半導体はともにこの条件に該当する。電気自動車(EV)など次世代車の要となる物資の供給網確保を政府として支援することで、日本の自動車産業の国際競争力維持につなげる。

電池や半導体、鉱物資源を特定重要物資に指定する方針

特定重要物資として11分野を指定し、今月末にも策定する総合経済対策に具体策を盛り込む考えだ。特定重要物資は、①国民の生存に必要不可欠②外部に過度に依存する③供給が途絶する可能性がある④安定供給の確保の取り組みが特に必要―の4つの要件を満たすことが条件で、自動車分野では、EVに搭載する電池や半導体が指定される見込み。

車載用電池はEVの普及で将来的な市場拡大が期待できる一方、中国・韓国勢の猛追で、2015年には5割以上あった日本企業のシェアは、この5年ほどで2割にまで競争力が低下している。加えて、電池材料であるレアメタルの輸入は特定の国に依存しており、経済安保上のリスクも懸念される。そのため、重要鉱物も合わせて特定重要物資に指定した。

20年秋ごろから供給不足が発生した半導体も特定重要物資に加わる見込み。特に車載向けの供給は困窮し、半導体不足の影響は完成車メーカーの生産にまで及んでいる。経済産業省も、生産工場の整備を対象とした補助金制度を創設し、国内への生産基盤の誘致を急いでいる。

このほか、日本勢が高いシェアを持つ工作機械や電動車用モーターに使用される永久磁石なども特定重要物資になる見込み。

14日の閣議後会見で西村康稔経済産業相は「特に電池は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の達成に向け、EV化や再生可能エネルギーの主力電源化を推進する上で極めて重要であり、国として安定供給の体制整備に取り組む必要がある」との認識を示した。

該当する11分野は年内に政令で指定する。指定されれば、企業は安定した供給網の確保や設備投資などで財政支援を受けられる。政府は年内に閣議決定する22年度第2次補正予算で必要な予算分を確保する考えだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月15日号より