政府は18日、貿易保険法の改正案を閣議決定した。今夏ごろの施行を目指す。新型コロナウイルスなどの感染症で企業が事業を中断した場合も、保険料支払いの対象に加える。コロナ禍を受け、海外に進出している日本企業の新たなリスクが浮き彫りとなった。自動車業界でも海外の生産工場の新・増設に影響が出ているケースも少なくない。関連法を整備することで、国としても企業の事業活動を支援する考えだ。
貿易保険とは、日本企業が海外取引で損失が発生した際にその損失をカバーするもの。コロナ禍によるサプライチェーン(供給網)の寸断などで新たに露見したリスクを踏まえ、現行法を改正する。
改正法では、感染症で工場や発電所などの建設事業の中断を迫られた際の従業員の退避費用などにも保険金の支払いが可能となる。現行法では、戦争や内乱時に限定していた。
自動車業界でも、コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)で、海外工場の新設や増設、移転のスケジュールに一時遅れが生じた。貿易保険で追加費用を補てんすることで、企業が安定した事業を行える環境整備を進めていく。
また、日本企業が海外子会社などを通じた投資で損害を被った場合の損失などについても保険金の支払いを可能とする。加えて、現行法では出資ができない日本貿易保険(NEXI)のあり方も見直し、貿易保険事業を行う外国法人への出資もできるようにする。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月19日号より