政府は、燃料電池車(FCV)の規制の一元化を目的に、高圧ガス保安法を改正する。水素タンクを搭載するFCVは、通常の車両に適用される「道路運送車両法」に加え、「高圧ガス保安法」での規制も適用されるため、型式登録時の手続きの複雑性などが指摘されていた。規制を一元化することで、メーカーやユーザーの手続きの負担を軽減し、FCVの普及を後押ししたい考えだ。改正法は来年中の施行を目指す。
高圧ガス保安法では、常温で圧力が1㍋ パスカル 以上のものが規制の対象で、トヨタ自動車「ミライ」の水素タンクは、圧力70㍋ パスカル になっている。そのためFCVは、現行法では、水素タンクは経済産業省が所管する高圧ガス保安法が適用され、車両全体は国土交通省が所管する道路運送車両法が適用される。
1台で2法が適用されることから、型式登録時は2つの手続きが必要になる。ユーザーも、車検に加え、高圧ガス保安法に基づく水素の容器再検査も受ける必要がある。再検査を受けなかったために水素ステーションで充てんができなかったというケースもあるなど、ドライバーの負担増につながっている。
改正法では、高圧ガス保安法の適用を除外し、道路運送車両法に規制を一元化する。これにより、公道を走行するFCVは、通常の車両と同様の規制環境になる。ユーザーの手続きを簡略化することで、FCVの普及拡大につなげたい考えだ。
改正法案は4日に閣議決定され、改正法は来年中の施行を目指す。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)3月8日号より