2023年度予算案が28日、参議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計総額は22年度当初予算比6.3%増の114兆3812億円。高齢化に伴う社会保障費の伸びや防衛力の抜本的強化などに対応し、11年連続で過去最大を更新した。自動車産業に関係する予算では、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への対応として、電動車や充電設備の導入支援を手厚くすることなどが盛り込まれた。
政府は脱炭素化を目指し、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)など電動車の普及促進に引き続き、力を入れる。経済産業省は「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入補助金」「充電・充てん設備導入促進補助金」の予算を約1200億円確保した。過去最大の規模だ。商用車の電動化も後押しする。経産省、国土交通省、環境省による新規の連携事業として「商用車の電動車導入促進事業」も実施する。
脱炭素社会実現に向けた官民投資を促進するほか、半導体や蓄電池などの国内製造基盤の強化、サプライチェーン(供給網)の強靭化などにも取り組む。また、24年10月から始めるOBD(車載式故障診断装置)検査のシステム検証・改善など環境整備に約3億円、スキャンツール(外部故障診断機)の導入支援に約5億円を充てる。OSS(自動車保有関係手続きのワンストップサービス)関連にも約30億円を手当てした。
当初予算が110兆円を超えるのは初めて。税収は69兆4400億円と過去最高の見通しだが、35兆6230億円の新規国債を発行して歳入不足を埋め合わせる。
予算成立後は、60年を超える原発運転を事実上、可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」の審議などが国会の焦点になりそうだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)3月29日号より