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自動車業界トピックス

政府、CO2を回収・貯留する「CCS」事業化へ法体系の整備急ぐ

自動車産業も期待

政府は、二酸化炭素(CO)を回収・貯留する「CCS」事業の国内における法整備に乗り出す。年内に論点を整理し、2030年の事業開始を前提に法体系を整える。圧入や貯留の事業権の創設や事故時などの責任所在の明確化などに取り組む。CCS技術の確立は火力発電におけるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現につながるとされており、自動車を含む製造業の脱炭素化でも期待がかかる。

CCSは火力発電の脱炭素化につながる

経済産業省と環境省が合同で開いたワーキンググループ(WG)で方針を示した。WGでの議論を踏まえ、今年中にCCSのロードマップ(工程表)を策定する。

WGでは、CCS事業法(仮称)と「CCS事業関連法」の整備に向けた課題について集中的に議論する。COの貯留や輸送、分離回収など各工程における性質や課題を踏まえた事業規制のあり方、環境保全のための制度や監督体制を具体化する。

合わせて事業を実施する上で必要な「貯留事業権」の物権化や事故が発生した場合の事業者責任の明確化、損害賠償責任の制限なども決める。

CCS技術は、日本では北海道苫小牧市で実証が進むものの、まだ実用化はされていない。経産省によると、日本の想定年間CCS貯留量は50年時点で約1億2千万~2億4千万㌧。この貯留量をカバーするには、事業者は26年度には最終投資判断をする必要があり、投資の判断基準の一つとなる法整備の枠組みに関しても早期に整える必要がある。

現在の日本の電源構成では、約7割を火力発電が占める。自動車など製造業も火力発電への依存度が高く、政府目標である50年カーボンニュートラル実現を達成するには電源の脱炭素化は避けては通れない。CCSは自動車産業にとっても重要な技術となる。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月3日号より