政府が電気自動車(EV)の普及促進策を本格化する。EVの購入補助金について、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の設置などを条件に1台当たり現行の最大40万円から同80万円へと2倍に引き上げることを検討している。一方で、クリーンディーゼル車の自動車重量税の減税を縮小することも検討しており、二酸化炭素(CO2)排出量の少ないEVの購入を税制で優遇する。自動車各社もEVの投入を本格化しており、EVの普及が加速する可能性がある。
菅義偉首相が2050年までにCO2などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を示したことから、政府は政策面で走行時のCO2排出量がゼロのEV普及を本格的に推進する。
現在、EV購入の補助金は、電気モーターによる1充電当たりの航続距離などに応じて設定されており、1台当たり最大40万円が補助されている。
政府はこれを2倍の80万円にまで引き上げるため、20年度第3次補正予算案で関連費用を盛り込むことを検討している。CO2排出量ゼロで発電できる太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を整備していることなどが条件となるもよう。
環境対策を強化している欧州では、ドイツやフランス、などでEVの補助金が増額され、EVの販売比率が急上昇している。
日本政府は21年度の税制改正で、自動車重量税が免税となっているクリーンディーゼル車のエコカー減税の見直しも検討している。クリーンディーゼル車は走行中、CO2を排出するためで、ガソリン車と同様、燃費基準に応じた減税となる見通し。
19年度の国内新車市場でEVは約2万台となっている。今年に入ってからホンダが「ホンダe」を投入し、マツダも来年1月に「MX―30」のEVモデルの販売を開始する予定。日産自動車は21年に新型EVの戦略車「アリア」を投入するほか、三菱自動車と共に軽自動車サイズのEVの市場投入を計画するなど、ラインアップも拡大する。
政府のEV普及促進策で、国内でもEVの普及が見込まれる。
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)11月26日号より