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自動車業界トピックス

政府の「エネルギー基本計画」改正案、2030年度の電源構成で再生可能エネルギー構成比を2倍へ

官民連携を通じて再エネによる脱炭素化の取り組み早期に本格化

国のエネルギー政策方針「エネルギー基本計画」(エネ基)の改正案がまとまった。2030年度の電源構成で、再生可能エネルギー(再エネ)の構成比を現在の約2倍となる4割近くに引き上げる野心的な目標を掲げた。再エネの軸の一つが太陽光発電だ。試算では30年に1㌔㍗時の発電コストが事業用太陽光で約8~11円となり、石炭火力(約13~22円)や原子力(約11円)に対し割安になる見込み。自動車産業では「50年までのカーボンニュートラル達成」に向けて、生産段階の再エネ導入を加速している。改正案は今秋にも閣議決定される見通しで、官民連携を通じて再エネによる脱炭素化の取り組みが早期に本格化しそうだ。

太陽光発電の導入を野心的に拡大し脱炭素化を加速

改正案では、30年度の電源構成における再エネの構成比を現在の約20%から約36~38%に拡大することを打ち出した。原子力の構成比目標も現在の約2倍の20~22%とした。現在主力の石油などの活用は、約30%から2%程度へと大幅に削減する計画。改正案が実現すれば、脱炭素電源の構成比が約6割に達し、温室効果ガスの削減が大きく前進する。

企業や自治体への再エネ導入を進める過程で重要になるのは発電コストだ。現在のコストは事業用太陽光が1㌔㍗時当たり12.9円、住宅用は同17.7円で、石炭火力(12.5円)や原子力(11.5円)よりも割高だ。

しかし政府は、企業などに建設物の新設時に太陽光パネルの設置を義務化する方針を示すとともに、新築住宅でも設置義務化の検討を始めた。政策で太陽光パネルの大量設置を進めて発電コストを段階的に引き下げ、再エネ導入率を拡大する考えだ。

自動車メーカーも再エネ導入に本腰を入れ始めた。トヨタ自動車は、35年までに世界中の工場で二酸化炭素(CO)排出をゼロにすることを目指し、再エネ電力の導入を開始した。日産自動車も英サンダーランド工場で再エネ発電施設を大幅に拡張し、これによって消費エネルギーの20%を賄う計画だ。三菱自動車は、岡崎製作所で太陽光発電設備と使用済み車載電池を活用した蓄電システムを今春稼働した。

日本の自動車産業は長年、火力発電に依存してきた。政府が掲げる50年までのカーボンニュートラル達成には、生産システムの抜本的な見直しが必須になっている。各社はまず、政府が示した30年度目標に向けて、再エネ導入を急ぐ方針だ。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)8月12日号より