日刊自動車新聞社

モビナビ学生 モビナビ転職

新規会員登録は現在受付を休止しております

企業の採用ご担当者の方は「モビナビの求人掲載」

メニュー

自動車業界トピックス

新車ディーラー、高値続く中古車相場 下取り値付け難しい判断

中古車需要と新車供給状況を両にらみした対応を迫られる

中古車価格の高騰が続く中、新車ディーラーが下取り車の値付けに警戒感を持ち始めている。中古車オークション(AA)相場は過去最高とも言われる高値で推移しているが、今後新車供給の回復で中古車発生量が拡大すれば、一気に値崩れする恐れもあるからだ。販売現場は「中古車相場が崩れる時期を見越した値付けをどう見極めるのかが課題」(中部の日産ディーラー)と中古車需要と新車供給状況を両にらみした対応を迫られている。

右肩上がりで高騰する中古車。新車生産回復で在庫リスクも顕在化しそうだ

中古車価格下落への備えが始まりそうだ。トヨタ自動車は11日、12月の生産計画について、グローバルで80万台レベル(前年同月76万台)に引き上げると発表。国内は、5月以来7カ月ぶりに全14工場28ラインが通常稼働するなど、挽回生産に入った。

トヨタは、国内新車販売でシェア4割を占めるだけに、今後の中古車価格への影響は避けられない。AA最大手ユー・エス・エスの10月の台当たり平均成約単価は今年度最高の93万8千円を記録するなど高値が続いているが、今後どの段階で下落に転じるのか、新車ディーラーだけでなく、中古車専業店や買い取り店からも関心が高まっている。

こうした中、今後は下取り車査定時の値付けが難しくなりそうだ。新車生産が回復に向かうとはいえ、過剰な受注残が解消され長納期化が改善するのはまだ先だ。こうした中で値崩れが起きれば、相場よりも大幅な高値で下取りせざるを得なくなる可能性もある。「高騰相場で値付けしており、入庫時点で下落していないか不安だ」(中部のトヨタ系ディーラー)との声も聞かれる。

新車が長納期化していることもあり、足元の中古車需要は堅調に推移している。半面、下取り車入庫の遅延などでディーラーの中古車在庫は通常の6~7割程度に低下しているとみられる。ただ、中古車相場が下落する可能性もあるなど先行きが不透明な中で在庫を抱えることは大きなリスク要因にもなる。ディーラー各社や中古車販売店は、どの程度在庫を抱えるべきか、難しい判断が求められている。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)11月16日号より