日本バス協会(バス協、清水一郎会長)は、自由民主党本部(東京都千代田区)で「バス危機突破 総決起大会」を行い、政府に向けて支援強化を要望した。同本部での決起大会実施は昨年に続くもので、全国のバス事業者約200人とともに、自民党の萩生田光一政務調査会長、バス議員連盟をはじめとした国会議員も多数出席。清水会長らは2020年から3年にわたるコロナ禍の影響を受け、燃料高騰や運転者不足が生じ損失が拡大するなど経営の窮状を訴え、地域の移動を支える公共交通機関であるバス事業の持続に向けた支援策の具体化を求めた。
大会でバス協は窮状の打開策として①補助金の算出基準を「地域ブロック平均単価」から「実勢コスト」に転換②人手不足対策、外国人運転手制度の実現③EVバス補助金の大幅増額④キャッシュレス化の加速―の4点を打ち出した。その上で自民党バス議連と共同決議し、政府への要望に盛り込んだ。
バス事業者は、過疎化やコロナ禍の影響で需要が減少し、経営が危機的状況にある。このため全国各地で減便や路線廃止が散見されるが、通院や通学の足を失い生活に支障の生じる人が増えており、社会問題となっている。
清水会長は「地域公共交通の〝最後の砦〟であるバスが経営不振で危機的状況にあるのはおかしい。何とかして守っていきたい」と思いを述べた。
自民党バス議連の逢沢一郎会長は「公共交通の最後の砦であるバスはギリギリの状態にある。それを政治と行政で支え、国民の利便、移動の自由を確保していきたい」と意気込んだ。
さらに萩生田政務調査会長は「バス業界は今、最も厳しい状況にあると聞いている。バス利用者と事業者双方にとって高い利便性と持続可能性を備えた公共交通網にするために、しっかりと地域の声をくみ取っていきたい」とバス事業の重要性に対する認識を示した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)11月20日号より