日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)がまとめた自動車整備業における2013~22年の労働災害事故状況によると、過去10年間の累計死傷者数は5577人(死亡は49人)だった。事故型別の発生割合をみると、「墜落・転落」が20.7%で最も高かった。事故型の死亡者数は「はさまれ・巻き込まれ」の24人が最多だった。日整連は「災害防止の基本対策で『安全整備作業の手びき』を活用し、職場の安全確保を図ってほしい」と呼び掛けている。
過去10年間の事故型別の死傷事故発生割合は、墜落・転落、はさまれ・巻き込まれ、「転倒」の3分類で過半数を占めた。前の期間と割合の傾向に大きな変化はなく、日整連は「毎年、類似した状況で労働災害死傷事故が発生していると推測できる」と指摘した。
過去10年間の死亡者数は、はさまれ・巻き込まれが最多だった。毎年複数人の作業者が命を落としている現状を受けて日整連は、事故の防止対策として、事業場内の作業実施状況管理や安全・車両誘導ルールの徹底、危険予知トレーニングの実施、車両に適した機器の使用などを訴えている。
年代別の死亡者数は、40~49歳が16人だった。従来は60歳以上の割合が高かったが、21年から入れ替わった。22年だけでみても40歳代の死亡事故の割合が最大だった。働き盛りの世代が目立っており、このままの状況が続けば整備業界にとっても大きな損失につながりかねない。
死傷者数も高いレベルが続く。22年の死傷者数は、前年比39人減の517人となった。16年以降は横ばいまたは増加の傾向にあったが、過去2年は30人以上ずつ減少している。ただ、整備従事中の死傷者数が年間500人の高水準であることに変わりはなく、死亡者数も前年の4人から6人に増えた。事故型別の死傷事故発生割合も、重大な結果につながりやすい墜落・転落と転倒、はさまれ・巻き込まれの3分類の割合が多いなど、事業場または作業者による事故防止対策は、継続して必要な状況がいまだ続いている。
同統計は厚生労働省「職場のあんぜんサイト」の労働災害統計・災害事例から、日整連が直近10年間の統計を抽出してまとめたもの。毎年更新する整備主任者研修の法令編のテキストに掲載している。日整連ではこうした取り組みを通じて、整備事業者に労働災害の注意喚起を図っている。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月8日号より