日本バス協会(清水一郎会長)は10日、バス事業に対する税制・予算による支援強化を政府に求める「バス危機突破 総決起大会」を自民党本部で開いた。全国のバス事業者ら約200人が出席し、自民党バス議員連盟をはじめ多数の国会議員も駆けつけた。大会では「バス事業はコロナ禍や燃料高騰などで経営が危機的状況にある」とし、固定資産税減免など、従来とは異なる実効性のある支援を要望することを決議した。
バス業界として単独で決起大会を開いたのは初めて。清水会長は「バス業界の深刻な危機感を(政府、与党、関係省庁に)伝えたくて開催した」と説明した=写真。
同協会と自民党バス議連が共同決議した政府への要望は①バス事業者の固定資産税減免②全国旅行支援のあと3年の実施③電気バス(EVバス)補助の大幅増額―の3点。
バス業界は、人口減少や少子高齢化などによる需要減少に外出自粛要請などが重なり、大きな打撃を受けた。同協会によると、乗合バスの収支状況は2020年度と21年度で累計約4千億円の赤字だった。2年間でコロナ禍前の年間損失額の約10年分に相当するという。燃料高騰によるコスト負担も重く、収支の悪化に歯止めがかからない。
清水会長は「10年先の厳しさが今、崖っぷちまでやってきた。地域公共交通の最後の砦、最後の手段であるバスを何とかして守っていきたい」とあいさつした。
自民党の萩生田光一政務調査会長は「固定資産税減免の要望などに加えて、燃料高騰やドライバー不足といった構造的問題など解決すべき課題は山積している。自民党として正面から向き合いたい」と応じた。自民党バス議連の逢沢一郎会長も「バス業界は危機的状況だ。経営危機の突破口を来年度の税制改正、予算編成で実を挙げていかなくてはならない。力を合わせて公共交通の最後の砦であるバスを支えていく」と語った。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月12日号より