日本輸入車整備推進協会(JISPA、平林潔代表理事)は、2024年夏に技術研修「輸入車整備の実務セミナー」に上級編を追加する。対象は故障診断に一定の経験がある整備士を想定。外部の専門家を講師に招き、エンジンの電子制御装置をテーマに講義を行う。これまで整備士それぞれの勘やコツ、経験で対応していた故障診断を、体系的に整理できるようにすることでさらなる技能向上につなげる狙い。また、会員各社での技術継承にも役立てる。
上級編は、エンジンが吸い込む空気の量を検知するエアフローセンサーや酸素濃度を検知するO2センサーなどの電子制御装置の故障診断と対処について講義する。具体的には入庫車両に搭載するセンサー類の実測値と出荷時の基準値との差に基づいた故障判断や、その差の補正方法などを身に付けられる内容とする。
JISPAによると、スキャンツール(外部故障診断機)などで実測値に基準値から一定の乖離(かいり)があると分かった場合、整備要領書では、部品交換を指示されるケースが多い。ただ、足元で価格が上昇している補修部品もある中、単純な部品交換の提案では輸入車ユーザーの顧客満足の低下にもつながる可能性があるとみて電子制御装置の整備に深い知見を持つ会員や整備士を増やすことが必要と判断した。
JISPAは現在、実技を中心とした技術研修の初級・中級編をそれぞれ年1回のペースで展開している。初級では輸入車整備の基本を、中級ではスキャンツールを活用したトラブルシューティングを実施している。「マーケティングよりも実際に直せるということが入庫促進につながる」(平林代表理事)とみており、技術研修に力を入れている。これらに熟練者に対応する「かなり難しい内容になる」上級編を追加することで、輸入車の整備業界で会員各社の地位を高めていく考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月5日号より