日産自動車は、充電器やV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機器などの販売支援体制を改めて整える。日産と全国の日産部品販売が、機器や施工業者の選定や価格設定などを主導することで、販売会社が車販に専念できるようにする。国内では電気自動車(EV)販売で先行した日産だが、充電器やV2Hなどの販売ノウハウでは販社間で濃淡がある。人手不足や家電小売りのEV販売など、事業環境の変化もにらみ、営業の好事例と合わせて販社向けの支援策を展開する。
すでに、日産と日産部販が機器の選定から設置工事までワンストップで提供できるサービスを昨年度から一部地域で始めた。同様のサービスを全国で提供できるよう、機器メーカーや施工業者、販社とで調整を進めており、今年度中にも展開を始める。販社の独自サービスを妨げず、主にEVの販売実績が少ない販社向けの支援策として活用してもらう。日産部販は、充電器やV2Hのほか、ポータブルバッテリーなどの関連商品の取り扱いも販社へ提案する。
日産の販売会社はこれまで、充電器などの設置事業者を自社で選定し、価格交渉や契約を行っていた。ただ、工賃や施工品質には差もあり、クレーム処理を含めて取引を続ける作業には販社に一定の負担感もあった。こうした交渉や施工品質の確保をメーカーが主導し、販社の負担を減らす。
日産の2023年度のEV販売は4万7449台(前年度比5.4%減)で、新車販売に占める比率は約1割と国内メーカーの中で最も高い。ただ、足元では「サクラ」「アリア」「リーフ」とも販売が伸び悩みを見せている。EV販売が得意な営業スタッフの商談手法を横展開するなどテコ入れをすでに始めたが、充電やエネルギーマネジメントなどに関する販社の業務を支援することで、車販に専念できる環境を整え、さらにEV販売を上積みしたい考えだ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)6月11日号より