日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)は、車体整備工場の独自認定制度「先進安全自動車対応優良車体整備事業者」の取得基準を見直す。機器要件の一つとなるスポット溶接機の保有を、4月に創設する溶接管理者の資格で代替可能にする。スポット溶接機は高価な割に使用頻度が少なく、認定取得の障壁になっている。新資格は既存設備でも対応可能となっており、目標に掲げる認定1千社の達成に弾みを付けたい考えだ。
日車協連は国土交通省、日本自動車車体補修協会(吉野一代表理事)の3者で開いた勉強会を通じて検討した認定制度を2017年に導入した。優良な車体整備工場の見える化が目的で、取得基準には整備技術の高度化に対応した設備や人材、電子制御装置整備の認証取得などの条件を設けている。現行基準では、目標の半数に当たる500強の組合員の工場が認定を取得した。取得基準を緩和することで、目標達成に弾みをつける。
この鍵を握ることになる新資格は、溶接技能者が行う作業の施工要領書の作成と品質管理の役割を担う管理者の育成につなげるもの。溶接の専門機関と接合強度の検証を行うなどして、約10年かけて創設にこぎつけた。具体的には車体への採用が増えている高張力鋼板に対応する。補修分野でも完成車工場と同様にスポット溶接機の使用が求められているが、使用が難しい部分もあり、片側から溶接するプラグ溶接も可能となっている。しかし、プラグ溶接には品質保証の基準になるものがなく、新たに産業界の標準に沿った基準を設ける。
日車協連では認定工場を、24年をめどに本格始動する地域連携ネットワークのハブ(中核)工場に据える計画。車体整備業界は事故修理台数の減少と整備技術の高度化で、経営環境の厳しさが増している。同ネットワークによって、組合員同士が支え合う仕組みとし、各社の生き残りと整備技術の高度化につなげる狙いがある。取得基準の見直しで認定工場数を拡大し、連携網の構築に勢いをつける考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月17日号より