技術研究組合「最先端半導体技術センター」(LSTC、東哲郎理事長)が始動した。同組合が進める次世代ロジック半導体「ビヨンド2ナノ」の量産技術開発などに対し、経済産業省は最大で450億円を支援する。LSTCは、エッヂAI(人工知能)アクセラレータの開発などを国際連携で進める。開発品は2027年以降の量産を見据えており、自動運転や会話で車両を制御するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)などでの活用を見込む。
LSTCは、2㌨㍍級(㌨は10億分の1)次世代半導体の研究開発を目的に22年12月に政府が設立した。海外の研究機関や大学などとの連携も視野に入れたグローバル組織と位置づけ、短いTAT(ターンアラウンドタイム、工程総時間)での量産基盤の構築を目指す。
今回の補助の対象となるのは、AIなどに活用される次世代半導体「ビヨンド2ナノ」向けの技術開発だ。2㌨以下で用いるプロセス要素や短TAT・クリーンプロセス装置の技術開発を支援する。すでに台湾積体電路製造(TSMC)が1.4㌨級の開発に乗り出しており、将来を見据えた技術開発を進める。
また、ビヨンド2ナノの設計技術として、生成AIを含むエッヂ推論処理用途に専用化したエッヂAIアクセラレータ向け統合アーキテクチャやCPUチップの開発も支援する。自動運転やHMI、産業用ロボットでの制御などを用途として見込む。
東京大学などに加え、米半導体装置メーカーのアプライド・マテリアルズ(AMAT)やベルギーの研究機関imecなどとも連携する。
28年末までに事業を終了し、開発品のライセンスはLSTCの組合企業から優先的に付与する。組合企業の1社であるラピダスが開発品の量産を担う方針。ラピダスにはトヨタ自動車やデンソー、ソニーグループなどモビリティ領域を手がける企業も参画する。非組合員への付与も検討しており、次世代自動車全体のデジタル化やAI活用を支援する方針だ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月14日号より