ガソリン価格高騰が止まらない。14日時点のレギュラーガソリン1㍑当たりの全国平均価格は181円90銭で、過去最高の185円10銭(2008年8月4日)に迫る。政府が石油元売り各社に支給する補助金の段階的縮小に加えて、原油価格の再高騰と円安の進行が影響した。補助金支給は9月末に終了予定で、今後の原油価格の動向次第では、自動車を日常生活の足とする地方の家計負担増や中小企業の経営に大きな打撃を及ぼしかねない。継続可否の早期判断が政府に求められる。
経済産業省によると、レギュラーガソリンの全国平均価格は、14日まで13週連続で上昇した。180円台は2週連続となる。一部地域ではハイオクガソリン価格が200円を超える給油所も出始めた。
原油価格高騰による国民生活や経済活動への影響を抑制する狙いで、政府は昨年1月から「燃料油価格激変緩和対策事業」として、ガソリン1㍑当たりの全国平均価格が170円以上になった場合、1㍑当たり5円を上限として石油元売り各社に補助金を支給することから開始したものだ。
これまでに延長や補助金の支給額上限を拡充するなどして、ガソリン価格の高騰抑制に大きな成果を果たしてきた。その後、原油価格が落ち着いてきたことなどから、今年6月からは上限以下の補助額を10%減、以降は2週ごとに10%追加減額し、上限超過分の補助額を5%増、以降は2週ごとに5%追加増額とした。燃料油価格激変緩和措置の期間は9月末で終了する予定だ。
10月以降に原油価格が再度高騰した場合、経産省は動向を見ながら柔軟に補助金を見直す方針を表明している。仮に今後、原油価格に大きな動きがなかったとしても、補助金の引き下げによるガソリン価格の高騰は続くことが予想される。地方の自動車ユーザーをはじめ地域交通、運送・宅配事業者などにとっては影響が大きく、地域経済の冷え込みが懸念されるところだ。
日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)は7月下旬、ウエブ版JAFメイトやツイッターなどで、ガソリン価格の高騰はガソリン価格自体が上昇しているからだけではなく「不可解で過重な税金がかけられていること」を指摘した。ガソリン税に上乗せされている「当分の間税率」と、ガソリン税に消費税がかかる「タックス・オン・タックス」の課税制度を紹介するとともに、適正な課税に戻せば「ガソリンは本来ならずっと安く買える」と主張している。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月23日号より