整備人材の減少と高齢化が進行している。日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)がまとめた「2019年度自動車分解整備業事態調査」によると、整備士数は前年度比0.5%減の33万6897人、整備要員の平均年齢は同0.2歳上昇し45.5歳となった。自動車整備業界は人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化だけでなく、整備士を目指す若者の減少、勤務体系、賃金問題など多くの課題を抱えている。高度化する車両技術への対応も含め、次世代整備を担う若手整備士の確保は待ったなしの状況だ。
1人当たり売上高は拡大
日整連は整備士数について「2012年以降、減少傾向が続いている」と指摘している。17、18年度は増加に転じたものの、今年度は前年度から1541人の減少。5年前の14年度と比べると約5600人のマイナスとなっている。
人材確保については行政、業界を挙げて対応策を継続的に強化するものの、一朝一夕に結果に結び付くわけではない。自動車大学校・整備専門学校への入学者数が減少し、日本人若手整備士の確保が年々難しくなる中で、外国人材を活用する動きが強まっているのも実情だ。
業界内では女性整備士の活躍に期待を寄せる声も高まっているが、19年度調査では1万258人となり前年度から347人減る結果となった。総整備士数に占める女性整備士の割合はわずか3%にとどまる。
整備人材の減少は総整備売上高が増加傾向を示す中で、整備要員1人当たりの整備売上高の増加につながっている。19年度調査ではディーラーが同1.8%増の2363万5千円、専・兼業は同1.0%増の996万3千円だった。ディーラーは3年連続、専・兼業は2年連続の増加となっている。
いま整備業界は人材不足だけでなく、労働環境の改善や働き方改革への対応も背景に作業効率化や生産性向上に取り組んでいる。こうした活動も相まって、1人当たりの整備売上高の増加につながっていると見られる。
専業3年連続50歳超え
一方、整備人材の高齢化は若手整備士が確保できないことの裏返しといえる。平均年齢は年々上昇しており、19年度調査では専・兼業が前年度から0.2歳上昇し49.9歳。このうち専業は0.1歳上昇の50.9歳、3年連続の50歳超えとなった。兼業は46.8歳だが上昇幅は0.5歳と最も大きかった。
専・兼業と比べ企業規模の大きいディーラーも高齢化とは無縁ではない。19年度調査では0.2歳増え35.5歳となった。(水町 友洋)
※日刊自動車新聞2020年(令和2年)2月6日号より