自動車保険金の不正請求など不祥事が相次ぎ発覚しているビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)について、河野太郎消費者担当相は、消費者の被害救済や予防の対応を図るよう消費者庁に指示したことを明らかにした。具体的な取り組み内容は決定しだい、公表する予定だ。
自動車保険金不正請求で生じる自動車保険料全体への影響といった消費者被害も懸念される中、同庁には消費者から中古車の売買についての心配や不安の声が寄せられているという。事故車を「無事故車」と偽ったり、買い取り後に査定額を減らすなどの手口が報道やインターネットで明るみに出るたびに、中古車業界全体に対する信頼低下を懸念する声も増えている。
河野消費者担当相は「消費者に対する被害救済や予防の観点からの対応が急務な状況だ」とした上で、同社の不正事案を「重要な消費者問題と受け止めている」と語った。
河野消費者担当相は、消費者庁に対し①自動車保険金不正請求に関する被害救済が確実に実施されることを目指し、消費者からの相談受付体制を強化すること②新しく寄せられたものも含め、消費者相談内容を精査し、消費者の不利益や被害につながる事案が確認された場合には同庁所管法に基づき適切な処理を講じること―の2点を指示した。いずれも、金融庁や国土交通省、損害保険会社など連携しながら取り組む。
ビッグモーターの不正事案をめぐっては、金融庁と国交省が事実関係を確認するために、それぞれの所管法令に基づき同社に調査報告を求めている。消費者庁も、公益通報者保護法の順守状況や順守されていない場合の改善策などについての報告を3日に同社に求めた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月10日号より