環境省は、自動車の窒素酸化物(NOx)および粒子状物質(PM)の排出規制「NOx・PM法」の対策地域の解除指針を4月中旬にも提示する方針を固めた。一定の基準を満たした自治体は、対策地域の解除を環境省に申請することができる。解除された地域では、ディーゼル乗用車など現在規制されている車種の登録や運行が可能になる。すでに一部の地域は解除要望を出しており、今後順次指定解除に向けて動き出すとみられる。
中央環境審議会で「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方」についての答申をまとめた。これに沿い、早ければ4月中旬にも自治体からの解除申請の受付を始める。
NOx、PMの濃度や排出量が減少、または低い基準で横ばいであることが確認できる地域が対象で、解除後も5年間は大気環境の継続したモニタリングを求める。また、住民や事業者との調整や電動車の普及促進も行う必要があるとした。
受付は4月中旬から開始するが、環境省は「(自治体における)ステークホルダーとの調整や将来予測のシミュレーションなどで1年近くかかる」(担当者)とみており、対策地域の解除が実際に行われるのは2023年以降になるとみられる。小委員会にはすでに愛知県、三重県が指定解除の要望を提出しており、今後他の対策地域でも同様の動きが広がることが予想される。
NOx・PM法は、大気汚染の原因とされるNOxとPMの排出量を規制することを目的に1993年に制定された。対象地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、三重、大阪、兵庫の8都府県の約270市区町村。該当地域では、排出基準に適合しないトラックやバス、ディーゼル乗用車の登録や走行を規制している。
環境性能に優れる車両への代替や自治体の交通量対策が進んだことで、規制開始当初と比べて排出量が削減しており、これらの取り組みを継続すれば、対策地域を解除しても大気環境が悪化することはないと判断した。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)4月6日号より