環境省は、今年度の第2次補正予算案で、自治体や企業の利用を想定した車両の電動化支援事業を強化する。車両1台当たりの補助上限額を現在の1.2倍に引き上げるほか、納車遅れの影響で補助金支給の対象外になりそうなケースも補助金を出せるよう制度を見直す。軽電気自動車(EV)の発売を契機に自治体などでもEVの導入機運が高まっており、補正予算を活用して電動化を後押しする。
環境省は、地方自治体や企業におけるEVなどの電動車導入を支援する事業として、2次補正で10億円を要望する。要求が通れば2021年度補正予算と同規模の予算額となる。同事業は、車両と再生可能エネルギー発電設備との同時導入を前提としており、車両を使わない時に地域住民などがシェアカーとして利用できる体制の構築も条件だ。
公用車や社用車の電動化を促すため、補正予算の編成を機に補助額を増やす。車両1台当たりの補助上限額を100万円から120万円程度まで引き上げたい意向だ。導入側の負担を軽減し、EVの普及につなげる。
環境省の事業は経済産業省と異なり、車両の発注前に補助金を申請し、今年度内に納車見込みであることが支給の条件だ。足元ではサプライチェーン(供給網)の混乱で納車時期が予測しにくくなっており、事前申請を諦めるケースも出ているという。今後は、事前申請しなかった場合でも、今年度内に納車された場合に限り、補助対象とするよう制度を見直す。
環境省は、30年度までに脱炭素に取り組む地域を支援する「脱炭素先行地域」を全国で100カ所設ける目標を掲げるなど、地方のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に力を入れている。
電動車の導入支援もその一環で、経産省分と合わせ、政府による支援を充実させることで政府として運輸部門の脱炭素化につなげる。
第2次補正予算は8日に閣議決定する予定だ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月5日号より