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自動車業界トピックス

環境省、電動車カーシェア補助金 想定上回る反響

新型軽EV発売で拍車

環境省が3月から補助金申請の受付を開始した「再エネ×電動車の同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業」が好調だ。申請件数は8日時点で約15件、問い合わせ件数も「想定より多い」(担当者)と言う。6月に複数の自動車メーカーが軽電気自動車(EV)を投入したことも一因となっている。一方、「一家に1台」が基本の地方でカーシェアという形態のメリットをどう持たせるかなど、新たな課題も見えてきた。

EVなど電動車の公用車をカーシェアとして活用する仕組み

同事業は、自治体や企業が、公用車、社用車として導入している電動車を地域住民にシェアカーとして貸し出す取り組みを支援するもの。再生可能エネルギー設備との同時導入を条件としており、電動車や充電設備の導入費用を補助する。事業費用として2021年度補正予算に計上した10億円を充てる。

3月から公募を開始した。申請件数は先週末時点で約15件。1件当たりの申請額は数100万円から数千万円と幅広く、年内に予算の上限に到達する見込みだ。6月に日産自動車と三菱自動車が軽EVの新型車を投入したこともあり、「特に軽自動車を公用車にしているケースが多い地方での引き合いが強まっている」(同)という。月内にも最初の採択事案を公表する方針だ。

問い合わせベースでも想定を上回る自治体が興味を示しているという。ただ、新たな課題も浮かんできた。同事業では自治体などがカーシェアとして公用車を提供することが補助の前提となっているが、地方ではカーシェアのスキームを提供している企業がまだ少なく、提携先を探すのに苦慮する自治体が多いという。また、公共交通機関が乏しい地方では自家用車の普及率が高いため、カーシェアの必要性を感じない自治体も少なくない。

さらなる導入拡大に向け、環境省は、観光利用に加え、例えば職員の通勤用途やマイカーの購入を検討している学生向けの試乗用途など多様な用途でカーシェアに利便性があることを自治体に訴求していく考えだ。また、中長期的には、シェアリング事業者を通さずに自治体だけで運営できるスキームの構築なども視野に入れていく。導入メリットが高い事業設計を進め、モビリティを通じた地方自治体の脱炭素化を加速させていく。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月12日号より